夏物衣料と汗の影響
夏物の衣替えシーズンとなりました。来シーズンも着用したいお気に入りの品物はしっかりとお手入れして収納したいところですね! 🙂
夏物衣料品と汗の影響
表題にも記載していますが、夏物衣料の汚れといえば汗が中心になっています。
汗汚れをしっかりと除去せずにしばらく保管しておくと
このように黄色く際じみを発生させてしまいます。これは生地に残っている汗の成分が酸化して発色して顕著化してしまった例です。子供の時に経験があるかと思いますが、あぶり出しの絵と同じような原理です。
ですが、これらの写真の品物はしっかりとクリーニング店でクリーニングされていたのにも関わらず、翌シーズンに着用しようと思ったら黄ばみを起こしていたというもの。
せっかくお金を払ってクリーニングしていたのに着れないようになってた、また全然汚れが落ちていなかった。消費者の方にとっては驚きを通り越し怒りになり、またお店は信用を失うことになります。
これには原因があります。
クリーニング後も黄ばむ原因
生地には疎水性のある生地と吸湿性のある生地とがあります。
疎水性とは水分と馴染まない、また馴染みにくいということ。
吸湿性とは水分と馴染みやすいということです。
夏物の衣料品は夏場に汗をかいても快適に過ごせるようにと綿やポリエステルなど吸湿性が高い生地がほとんどで、しっかりと汗をためこんでしまう性質があるというのがまずひとつ。黄ばみに繋がる理由でもあります。

先ほど記事の初めのほうにアップした3点の画像は綿の生地なんですが、編み物(ニット)になっており、クリーニングの取り扱い絵表示には水洗いが✖でドライクリーニングのみOKとなっています。
以前ドライクリーニングについて解説した記事があります。商業でのドライクリーニングについて知らない方はまずこちらをご覧ください。
ドライクリーニングとは簡単に言えば油で洗うことで、縮みや染色の流出、洗いによるダメージを極力抑えるために開発された洗浄方法です。
汗の汚れが落ちていないもうひとつのワケは、水溶性の汗の汚れをドライクリーニング(有機溶剤での洗浄)で処置しても汗は落ちきらないということです。水溶性の汚れは水で洗うのが一番なんですが、クリーニング店では衣料品の品質低下(収縮や色なきを起こさない)を極力抑えたいので表示通り処置してしまうところにも原因が潜んでいます。
今はどこのクリーニング店でもWクリーニングコースや汗抜きコースを用意されているので、しっかり汗をかいた品物はそういったコースを利用することをおすすめ致します。
またクリーニング店も夏物衣料に関してしっかりと処置していける技術レベルと、リスクの説明などお客様としっかりした確認を取った上で預かることができるようにならなければならないと思うところです。